(日常)芸の真髄
ある午後に部屋で牛みたいに寝ていたら
隣家から「違う、違うそうじゃない」という声が聞こえてきた。
鈴木雅之が頭によぎりながら、何だ、何だと耳をすましていると
だんだんと状況がわかってきた。どうやら、小さな子に一発ギャグを熱血指導しているようなのだ。
そのギャグはなつかしの千秋のギャグ「いっしょう、けんめい、やったのに!」だった。
よりよってなぜそれをと思っている間にも、公開スパーリングは続き
「違うよ!間。大事なのは間だよ〜」とか「言い方。ニュアンスが違うんだよな〜」という蜷川幸雄ばりの妥協のない演出が続き
おいおい子供は大丈夫かと心配していると
楽しそうな無邪気で明るい声が聞こえてきたので
ああ、そうかと思って目をつぶって豚みたいに寝た。