「十七才の地図」尾崎豊

十七歳の地図

十七歳の地図

よく小説のレビュー欄に「主人公に全く感情移入できませんでした。だから面白くありませんでした。」とか「この作者の思想が嫌でした。最低の小説でした。」とか見たことがあるような気がするけど、個人的にはその小説の値打ちだとか面白さは、作者と自分の思想が一致することだったり、主人公の心情が理解できることではないと思う。尾崎豊はその生き方や行動からして極端な存在であるし、まー確かに今の感じで言うとDQNと言ってもあれかもしれない。ファンである自分にしたって半分ぐらいは理解できないようなところもある。雨に濡れながら白シャツで今にもステージから落ちそうになりながらナルシスティックに大人や社会を憎むような歌を声を借らして歌う様子は見方によってはひどく滑稽で井上マーがネタにするように笑えるものともなるかもしれない。でも、みうらじゅんな終わりになってしまうが、その極端さ、その痛々しさ、その行動っぷり、そのジーパンの裂けっぷり、その感情の爆発ぶり、それらが全ていいんじゃないと言いたい。尾崎豊は問題意識を持ちすぎた故に歌手となり「十七才の地図」を作ったが「十九才の地図」なれば同じエネルギーも行為に変換される段に人殺しになる。そういう例としても見ていたりする。