つげ義春なら「貧困旅行記」を読め

スタバではグランデを買え!―価格と生活の経済学 (ちくま文庫)

スタバではグランデを買え!―価格と生活の経済学 (ちくま文庫)

無駄な欲望は、だいたい捨ててしまいたいのだが、整理しきれない欲望のひとつに……


なれたためしと見込みがない「経済通」になりたいというものがある。


本書は、そんなさもしい心が騒いで手に取ったものである……

今まで読んだ本の中でも、この本は、生活に密着したテーマに応えようという姿勢があるため、非常に読みやすくて良かった。


本書は、大まかに言えば、消費者行動と価格決定のメカニズムをコスト面から解明していくもので


ある人物がある商品を買うときには、その価格には取引コスト(時間・労力・余分な支出・心理的負担)が含まれていると説かれている。


同じ商品でも値段が 高い低いがあるが、消費者の置かれた状況に応じて取引コストに変化があり、整合性が取れれば購入するというのである。


我が身を振り返れば何が取引コストとして大きいかと言えば、時間と労力だ。


一度商品を見つければ違う店ではもっと安いかもしれないが、わざわざ見にゆくのは面倒と買ってしまう。


確かに面倒は避けているが手持ちの金は失っている。


ただ、自分の性格を考えればまことにずぼらであり


いちいち取引コストなんて考慮して買い物するのは煩わしい余計な作業に思えてくる。


となると、何も考えずにジャラジャラ払うのが一番の幸せなんじゃないか


そんな考えにとりつかれるのは、実は本書と同時進行でつげ義春の「貧困旅行記」を読んでいるからだろう