羊の木
- 作者: いがらしみきお,山上たつひこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: コミック
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★あらすじ★
とある海辺の地方にある過疎化の進む小さな町。極秘に法務省から打診を受けた市長は、職員にも知らせずに補助金を対価として、町に様々な犯罪歴を背負った元受刑者11人を住まわせることに決めた。市長の友人二人だけがこの事実を知っている。やがて、実際に11人がやって来て…………というおはなし
現実に、元受刑者たちはあの町にもこの町にもいて我々がただ知らぬが仏で暮らしているに過ぎないというのをふまえて……
しかし、もしも知ってしまったら……
もしもまとめてドーンと自分の地域に来たら……
わかっちゃいるけど、怖いでしょうよというおはなし。
いずれ我が身もとか相手の立場を思えば色眼鏡で見ちゃいけないとは思うものの……
恐怖心に負けて、フツーの人は色眼鏡をかけるよね、そうだよねというおはなしでもある……
もちろん、立派に考えるとそれらは勇気を持って改めなくてはいけない態度だが…………
それにしてもタイトルの「羊の木」の意味が気になった。
羊のイメージと言えばまずは、「犠牲の羊」そして支配者と被支配者を表す「羊と羊飼い」があり
ここからは「羊」はひ弱さであったり、操られやすさを意味していて
さらに眠る時に羊を数えることを考えると羊には「数が増殖する」というイメージがあり
総合すると「数が増殖するひ弱で操られやすいもの」というイメージになる。言わずもがなこれは、被害者としての人間のメタファーである。
「羊の木」とは市長室に飾られている絵なのだが、その描かれ方は、地面から生えた木の枝先に羊がちょうど実のようになっている図である。
人間は弱いが、次々と生まれ出ることが強さであるという意味になるのだろうか……
羊が強くなるとしたら、山を前につければ山羊になり、山羊になると「悪魔」のイメージを持つのだが
本編とは関係ないだろう。
二巻は夏。だいぶあるなぁ…………