やっと見た「チェイサー」

やっと見た。

舞台となるマンウォン町。区画整理が行き届かず道幅が狭苦しい感じが迷宮を思わせ、一度足を踏み入れては帰れない魔境みたいな空気を出していた。


地下室みたいに下がるところや、階段を上がるような石垣に囲まれた邸宅などがあり、マンウォン町はひとつの城のように見えた。陰影礼賛から行けば江戸川乱歩的なムード漂う素敵な場所だが


犯罪が起こる場所として説得力があるなぁと思った。環境犯罪学的見地から言えば色々と手を打つべきと思った。


デリヘルの元締めである主人公のジュンホが仕事柄ひねくれてはいるが、情にほだされて人間性を露にする一方


殺人犯であるヨンミンは人間性を捨て去り冷たい彼岸の境地であり


その対比が面白くはあったが、ヨンミンにはそういうものと思いつつもリアリティを感じられず。それが個人的には精彩を欠いた印象だ。犯罪の動機を深く掘り下げるべきだったんじゃないか。性的不能だけをあげつらうのでは、いささかあのモンスター性を担保しかねると思いました。