嗚呼、血の薔薇に咲くのりすけアジョシ
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2012/02/02
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ヒーロー物が最大のカタルシスをもってフィナーレを迎えるためには…
ヒーローに対峙する「悪」をどのように演出するかが重要だ。
ヒーローも「悪」も問題解決の手段として「暴力」を用いる点では相違はない。
なので、ヒーローが(語弊があるが)スカッと爽やかに暴力を振るうためには……
その正当化する理由として「悪」がそうされざるを得ない「悪」として描かれていなくてはいけない。
その点、勧善懲悪のエンターテイメントとして「アジョシ」は優れていたのでカタルシスも大きかったのかなと思う。
マンソク兄弟のマンソク兄が大ボスだったのだが、その「悪」の「悪っぷり」を以下に書く。
まずは、マンソク兄弟の仕事がいたいけな子供をターゲットにしていること。
薬の精製から運搬までをやらせるえげつなさ。あげくの果てに過労死をさせたりして臓器売買までするという鬼畜ぶり
今回の物語の起点であるソミの母親の命を無惨に奪うことだけはでは飽き足らず臓器売買のために死体を損壊し尊厳を辱しめる人でなしぶり
更にはマンソク兄の軽蔑しかできない唾棄すべきドブのような人格として
オ社長など権力にはへつらったり、力の強いテシクにはびびったりとするくせに…
部下の扱いや子供などの弱者には容赦なく当たったり、無慈悲に殺したりする徹底的に「弱きをくじき、強きを助く」ところであり
それらがこんなやつは本当に最低だからテシクにめちゃめちゃにされてもしょうがないよなという理由づけとなっており、モラルのハードルを下げている。
脇を固めるラム・ロワンという部下が敵ながら天晴れタイプでさらにマンソク兄にクズっぷりをかさ上げしていると思う。
また、マンソク兄は手下顔であり、その小悪党ぶりも卑劣漢としての印象を足している。
北斗の拳のラオウは、アジョシとは逆手のアプローチの「悪」の描き方でラオウは尊敬できる「悪」として描かれ、ケンシロウとラオウの最終対決には、「両雄対決」という面白味がある。